山登りのアドバイス(装備編)


夏山1
(梅雨明けから8月一杯)
(南北アルプス、八ヶ岳、2500メートル以上の場合)

一般的注意
とにかく暑い。行動中はTシャツで十分。ただし、風が吹くとたちまち冷えるのでコットンは危険。ダクロン、オーロンなどのハイテク素材が必要。
日焼けからくる日射病が怖いので、帽子は必要。首の後ろが焼けやすい。
夏山で標高100メートル当たりで0.6度気温が下がる、と言われる。そこで、東京で気温30度のとき、3000メートルのところは気温12度。体感温度は風速1メートル当たり○度下がる、といわれる。

材質:材質は防水性と防寒性に関係がある。両方とも、どうしても必要というわけではないので、ナイロン製のトレッキングシューズで十分。雨が降ったときゴアテックスだと快適。
高さ:石に乗ってくじきかかることがあるので、横から支えてくれるくるぶし上タイプまでは必要。低いタイプはひねったとき自分の筋肉だけで支えなければならないので、大体足をくじく。山で足をくじいたら、アウトなので、ここは真剣に検討すること。
靴底:荷物の量に応じて、適当な靴底の厚さと硬さが違う。10キロを超えたら、多少の硬さは必要。20キロを超えたら、皮の登山靴が歩きやすい。岩山が入る場合はあまりやわらかい靴底はやめたほうが良い。荷物が軽くて、岩場が無い場合は、やわらかい靴底が歩きやすくて疲れない。

帽子:
本当は、つばのある帽子か、うしろに布のついているのが良い。格好を考えると、前つばのキャップ。首が日焼けで痛くなったらバンダナをたらす。

サングラス:
必要。2日以上になって、目がまぶしくなることがある。その時は目をやられているので、サングラスをかけなければいけない。夏山の場合は、レジャー用でOK.

手袋:
必要。雨のときは暑くても、ぬれるとかなり冷たくなるので必要。岩場でもあったほうが良い。そこで、必要になる。特に、雨の岩場は素手では、滑りやすく寒さで感覚が無くなるので危険になる。軍手で十分。

雨具:
絶対必要。いくら夏山でも、ぬれたら体温を取られてアウト。昔はポンチョやアノラックが主体だったので、上半身だけでもまあまあ。その場合は、ズボンがぬれるので、翌日は行動不能になる場合がある。下も雨具だったら、万全。ゴアテックスまたはそのイミテーションが高価だが快適。

バンダナ

着ていくもの
防寒着:ゴアテックス雨具で兼用、が賢い
防風着:ゴアテックス雨具で兼用するほうが良い。
セーター:ベストで代用
下着(上):Tシャツで代用。コットンの場合は汗で冷えるので注意、一日当り1枚。ダクロンならもっと保つ。
下着(下):パンツだけで良い。コットンは汗で冷えるので避けたほうが気持ちよい。だけど、コットンでも死ぬことは無い、と思う。コットンのニットだとおなかをこわすと思うから、コットン布か化学繊維のトランクス。
靴下:一枚で良いが、靴と相談。

着替え
下着(上):Tシャツ。1日一枚がベター。最低限帰る日用に一枚。
下着(下):パンツ。山小屋では普通の人は着替えは難しい。時々着替えている人もいるけど。そこで、防菌加工つきの登山用トランクスが一番快適。そうでなければコットントランクス。帰る日は、新しい方が快適、一枚。
靴下:スポーツソックス、またはトレッキング用。靴に合わせる。行動中は2日で一枚が目安。帰る日は着替え必要(コットンでよい)

懐中電灯:夜の歩き(非常時)、宿の荷物整理等で必要。個人で一つ。ヘッドランプがベター。パーティに一つはヘッドランプ。最近出た、半導体ランプがランプ寿命と電池寿命が良いので最高。
コンパス:迷ったとき。コンパスなしで遭難したら笑われるよ。
ライター:パーティでひとつは必要

夏山2

富士山の場合

一般的注意。登山シーズンに注意。診療所開所期間が一番安全。
登山のときは、装備よりも高山病に注意しよう。
運動靴プラスハイキング装備、という人も多い。富士山の場合は、雨具さえ持っていれば、夏ならそれでも良いことになっている。
学校や何かで行く場合は、遭難したときみっともないので、夏山用装備を身につけていこう。

秋山(9月〜11月3日連休まで)
(北アルプス、八ヶ岳、2500メートルの場合)

一般的注意:冬山に近い防寒対策と、夏山と同じ雨対策が必要。そこで、着ていくものは少ないが、荷物は多くなる。
特に、霧雨で知らないうちに体温を取られて遭難する人が多いので、雨対策は重要。
靴:雨が冷えるので、運動靴は避ける。

帽子:

サングラス:必要。

手袋:必要。

雨具:必要。雨で遭難する事件が多いので注意が必要。遭難事件は、大抵、霧雨や小雨で雨具を出さずに行動して、結局体温低下になって、起きる。着衣がぬれたら面倒くさがらずに雨具を出すこと。パーティリーダーが言わないとみんな動かないので、リーダーはこの点、注意。

バンダナ

着ていくもの

防寒着

防風着

セーター

下着(上):長袖

下着(下):

靴下

装備

懐中電灯:夜の歩き(非常時)、宿の荷物整理等で必要
コンパス:
ライター:

着替え

下着(上):半そで化繊Tシャツ。1日一枚。変える日は、着替え必要
下着(下):パンツ。化繊。帰る日は、着替え必要
靴下:トレッキング用。帰る日は着替え必要(コットンでよい)

冬と春
(11月初冠雪後〜5月連休まで。
八ヶ岳、北八ヶ岳の場合)

一般的注意:雪と吹雪は寒いので防寒防風対策中心。
汗が冷えるとまずいので、汗をかいても平気な素材の下着が必要。平均の気温は違うけど、雨具以外、衣類の装備は春も冬もあまり変えられない。

靴:荷物が重いので、柔らかい底のは危険。足首が柔らかいのは、捻挫の原因になるので危険、駄目。アイゼンをつけらるれ事。最近はトレッキングシューズ用のアイゼンもある。

耳当て。絶対必要。吹雪で耳をむき出しにしたら、1分で感覚無くなる。そのあとどうなるか分からない。アウターのフード、防止の耳あてで代用可能。イヤーバンドはサイズがちょっとでも合わないと耳が痛くなって結構苦痛。

帽子:耳までカバーするイヤーバンド兼用のものが良い。風で飛んだら大変なので、紐をつける。

サングラス:絶対必要。無かったら半日から1日で軽い雪目になって景色がまぶしくなる。ほうっておくと重い雪目になって、すごく目が痛くなる。スキー用ゴーグルは重くてうっとうしいので登山用サングラスの方が良い。吹雪で飛んだらアウトなので、紐がついていること。

手袋:絶対必要。無くなったら、手の感覚が無くなって岩場は即立ち往生。凍傷。ウールまたは中綿入りナイロン。ウールはピッケルがすべる感じがするけれど、慣れると大丈夫、ただし寿命が短い。ナイロンはごわごわだけど安心感がある。かぜで飛ばしたら大変なので、予備一組持っていく。

雨具:雨具兼用アウターウェアで兼用するのが賢い。アウターがゴアテックス製なら兼用可能。

バンダナ

着ていくもの

アウター(上):冬山用の防水ナイロンパーカが良い。スキー用と違って、冬山用パーカは防風・防水優先で防寒のことは考慮していない。その場合はフリースの中間着とナイロン下着を下に着る。歩き始めからずーっとそのままで良い。
スキー用を流用可能。スキー用は中綿が入っていて、暑くなるので、中間着と下着を薄くする。汗をかかないように、中間着かアウターを着ないか、ゆっくり歩く。

アウター(下):下は、冬山用のナイロンパンツが良い。その場合は、インナーの長い下着の上に直接履く。ほかのものは不要なので、荷物が少なくてよい。スキー用の中綿入りパンツは暑すぎるので、不適。
ウール等のトレッキングパンツやニッカーボッカの場合は、防風機能が弱いので、オーバーパンツが必要。この場合は、稜線に出てからオーバーパンツ着用。荷物が一つ増える。

防風着:防寒具で兼用

中間着・セーター:フリース(中厚:Plolartec だと200)。昔はカッターシャツ+セーター+ナイロンヤッケが主流だったが、最近はインナー+中間着+アウターが可能。現代式の方が装備が一枚減って軽い。

インナー(上):必要、化繊長袖。登山用が軽くて、汗を吸収するのでベスト。スキー用がその次、スキー用はきつめなので、ワンサイズ上がベター。次は化繊の普段用。ウールは重くてかさばるがOK.コットンは汗で濡れて体温低下を起こすので危険。

インナー(下):長いズボン下

靴下:靴に合わせる。

着替え
インナー(上):必要。緊急時の防寒具を兼ねる。化繊。コットンは危険。帰る日は、着替え必要、コットンは殆ど無意味。

インナー(下):必要。長いズボン下。緊急時の防寒具を兼ねる。化繊。

下着(下):パンツ、帰る日は、着替え必要

Tシャツ:なくとも良い。

靴下:帰る日は着替え必要(コットンでよい)

装備

ヘッドランプ。必要。

懐中電灯:宿の荷物整理等であったら便利。

コンパス:必要。使い方を知っているとさらに便利。

ライター:必要。電子着火式が良い。火打石の100円ライターは雪で濡れたら点火しない。

防寒具:小屋ではあったほうが良い。寝る時も。汗で冷えてることが多いので。リュックで運ぶのでダウンジャケットまたはダウンベストが小さくなって良い。セーターではダウンジャケットの代用は出来ない。

寝袋:小屋どまりでも、夏用寝袋があると便利。小屋のふとんがすごいことになっている場合でも、快適に眠れる。

ストック:アプローチで必要。歩行補助と転倒防止。岩場に入ったらこまめにしまうこと。スキー用で十分のはずだけど、みんな伸縮式の山用を持っている。僕は両手式が気に入っている。冬山やヨーロッパで昔から使われてたけど、日本では90年ころから夏山でおじさんおばさんたちが使い出した。

ピッケル:縦走だとストックで十分代用可能。氷で足場を切る必要があるとストックでは無理。滑落防止も雪ならストックで大丈夫だと思う。それと、ピッケルとストックの滑落防止姿勢はちゃんと練習しておくこと。

アイゼン:氷に対して必要。雪の下に氷があるので、雪が出たら必要。岩場があれば12本つめが良い。八ヶ岳なら12本が良い。12本爪の前2本は、引っ掛けて躓くことがあるので注意。それより、ひもが横・内側の爪に引っかかるほうが多くて怖い。横・内側の爪は外に向かないほうが良いが、一人一人の足の構造の影響を受けるので、お店でちょっとはいただけではなかなか分からない。歩いてつまづいてみて分かる。ともかく歩行中の事故の殆どはアイゼンの紐を爪にひっかけて躓くことが原因。そこで、アイゼンは生命に直結する一番大事な装備。というわけで、アイゼンを買うときは詳しい店員さんに聞いて選ぶこと。
プレス式では、ひも式、ワンタッチ式がある。さらに2000年頃からワイヤー式が出ている。ひも式は着脱に時間がかかる。紐が多いのでその分、爪に引っ掛け易い感じがする。ワンタッチ式は便利だが、靴毎に調整する必要がある。それと、前側の止め具が外れそうで不安がある。最近は前の止め具を外れないようにする紐がついているものがあるが、今度はその紐が爪に引っかかる。ワイヤー式が良さそうだが、ICIスポーツの人は、靴底のしなりに追随できないから壊れやすい、と言って、お店に置いていない。仕方ないから家の近くで買った。
ヨーロッパのものには爪が長いのがあり、氷には強そうだが紐に引っ掛け易いので注意する必要がある。足と合わず、何回も引っ掛けて転んで怖かったので1回で買い換えた。材質の弱いものは歩行中にジョイントのところで折れて転んだことがある。このときもすぐ買い換えた。直せばよい、と言われたがその気にはならなかった。1980年頃でまだ日本製品の材質が悪かった頃だった。
サイズも結構微妙だ。長さは2,3センチまで調節できるが、幅が合わないこと多かった。5ミリ位違ったこともある。店では大丈夫だと言われたが、やっぱりだめで、紐が浮いて爪に引っ掛かった。
私の装備の中では一番トラブルが多い。

登山靴について


2002年8月18日改定